最近では終活という言葉をそこかしこで見かけるようになりましたね。
松尾家にも遺言書セミナーの折り込みチラシが届くようになったり、
電車の液晶広告では納骨堂の宣伝が流れてきたり…。
終活ビジネスの広がりを感じます。
ですが正直なところ、
いつ死ぬか分からないのは高齢の方に限った話ではありません。
要因は両手に余るほどあります。事故、病気、災害…。
もし、
あなたが借金を返せず抱えたまま突然亡くなってしまった場合。 もしくは、
あなたのご両親に借金があり、返せずに亡くなってしまった場合。 宙ぶらりんになった借金は、どうなるのでしょうか。 つづきから、相続の話も絡めて解説してみます。
死後も借金は誰かに引き継がれる!
平たく言うと、
借金も遺産に含まれまれます。 ですので例えば、
一人息子のAさんの父親が、
800万円の資産と
1200万円の借金を所持していたとします。
母親がすでに他界しているAさんはこれらの遺産をすべて相続する権利を得ましたが、
1200万円の借金を返済する義務も、全て遺産として受け継がなければいけないのです。
遺産の800万円分をすべて返済に充てたとしても、
Aさんは400万円分を自力で返済しなくてはいけません。 よく借金に追い詰められて自殺を図るという話を耳にしますが、
これは完全なる責任逃れであり、
死ぬほど追い詰められるような額の借金はすべて遺族に相続されています。
負の遺産から逃れる方法
遺産が2000万円で
借金が500万円、のようにプラス値の大きい遺産であれば
まとめて相続しても何も問題はなく、完済もできて万事解決なのですが…。
遺産が500万円で
借金が2000万円であった場合。
相続すると、むしろ
自分の懐から1500万円の返済を行わなくてはいけません。
こういった場合、自分への遺産の存在を知ったときから3か月以内に
「相続の放棄」という手続きを取ると、
亡くなった人のぶんの借金を背負わずに済みます。
ですが「相続の放棄」とは「相続できる権利を失う」ことですので、
相続権は次の候補者(亡くなった人の両親、兄弟など)に移ります。
借金背負いたくないな!と思って勝手に「相続の放棄」を独断で行うと、
あなたの祖母、祖父、叔父、叔母が
知らないうちに巨額の借金を負うのです。 また、放棄した時点で遺産をすべて相続できなくなるので、
例えば今、父が遺産に残してくれた持ち家に住んでいるとしても、
その所有権を受け取ることができなくなるのです。
所有権が叔父に渡り、その家を売却すると言われてしまえば、
あなたはその家を追われることになってしまいます。
限定承認という諸刃の剣
上述したように、
「借金は相続したくないけど遺産の中にどうしても継ぎたいものがある」場合。
限定承認という手段を利用することで、部分的に相続することができます。
ですが、負の遺産も同程度だけ相続しなければなりません。
例えばBさんの父親が、
500万円の現金での遺産と、
1000万円分の価値がある持ち家、
そして
2000万円の借金を抱えたまま亡くなってしまった場合。
普通にすべて相続すると下の図のようになってしまいますが、
「遺産の中でも現金は要らないから家だけ継ぎたい!」という場合、
限定承認という手続きをとることで、下の図のようなことが可能です。
ですがこの「限定承認」、手続きが放棄と同じく3か月以内であることに加え、
相続人全員で手続きに訪れなくてはいけなかったりと、
手続きがとても複雑なことで有名です。
ゆえに、便利でありながらあまり利用されない手段なのだそうです。
まとめ
死んだからと言って借金が完全に消滅することはありません。
人が亡くなってからの3か月間は法事、葬儀、身辺整理も含め、
とてつもなく慌ただしいものですが、
故人に借金がなかったかどうかなどをなるべく早い段階で調べ、
相続権を持つ人たちできっちりと話し合うことが大事です。
また、借金を子供に背負わせたくない、両親に払わせたくない人は多い筈です。
返済が間に合ってないなと感じたら、早めにおまとめローンなどを利用し、
無理だと諦めずに完済を目指すことをおすすめします。
ちなみに、借金を災害で返せなくなった場合などについては、
各金融機関や自治体によって救済策が用意されていることが多いです。
詳しくは各金融機関や自治体にお問い合わせください。
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